【認知症】相手の気持ちを理解する

認知症の患者に対する声かけのポイントを紹介します。認知症の患者とコミュニケーションを取るのは難しいですが、相手の気持ちを理解することを心がけながら接するようにしましょうね。

【認知症】相手の気持ちを理解する

何度も同じことを聞かれる

何度も同じことを聞かれる

認知症の人は何度も同じことを聞く傾向にあります。これは、認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の典型的な症状で、短期記憶に障害を抱えています。もの忘れが増え、新しいことを覚えるのも困難になります。何度も同じことを聞くのは短期記憶の障害が理由ではなく、「ちゃんと覚えなきゃ」「周りに迷惑をかけないようにしなきゃ」という思いから繰り返し聞いてしまうんですね。
認知症の患者はそういった不安を抱えながらコミュニケーションを取っています。その思いを理解し、不安な気持ちに寄り添う姿勢が求められますよ。同じことを何度も聞かれても、初めて聞いたように答えてくださいね。また、説明の方法を工夫することで記憶に定着させやすくできます。例えば、「明日です」だけではなく、「○○日(日付)です」「カレンダーに○○をする日を書いておきますね」など、少し工夫するだけで記憶に残る可能性が高くなりますよ。「私もしっかり覚えておきますね」など、相手の抱える不安に寄り添った声かけをすると、より安心感を持ってもらえます。

声かけをするとビックリされる

声かけをするとビックリされる

声かけをした際に、ビックリされることがあります。人によってはそれで怒られるかもしれません。これは、記憶障害によって覚えることなどが苦手になり、「○○はしただろうか?」「○○はどこにあるだろう?」と自分のことで頭がいっぱいで視野が狭くなっているからです。本人としては、大変な時にいきなり声をかけられたように感じてビックリするんですね。そのため、まずは相手の視界に入って自分を認知してもらってから、笑顔で目線を合わせてゆっくり話しかけましょう。認知症が重度になればなるほど視野は狭くなっていくので、いきなり声かけをしないように注意してくださいね。

人の顔を忘れる

人の顔を忘れる

何度も会っているのに、「初めまして」といわれるかもしれません。これは認知症による見当障害が原因です。見当障害によって、時間や場所だけでなく人の顔も認識できなくなってしまうんですね。そして、見当障害が見られる患者は過去の記憶に戻っていく傾向にあります。
誤りを指摘すると、相手はより不安になってしまうので無理に訂正するのは避けてください。本人は過去の記憶の中にいるので、いきなり現在のことを認識するのは困難です。そのため、一時的に話を合わせるようにするといいでしょう。「初めまして」といわれたら、「初めまして、○○です」と答えるとスムーズに会話ができますよ。
以下に、認知症の患者を看護する際に役立つ書籍を紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

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